そんなに行ったか、と自分でも驚くのだけど、韓国で年に一回開かれるKJF(コリア・ジャグリング・フェスティバル)に今まで3回参加している。
それほど魅力のあるフェスティバルなのかと思われるだろう。
しかし僕が一番楽しみにしているのはフェスティバルそのものではない(ごめんなさい)。韓国ジャグリング協会のシンさんや、会長さん、副会長さん、そしていつも変わらぬ韓国人ジャグラーたちの顔が見られることが、よいのである。
フェスティバルの規模はとても小さい。一般的な高校の体育館でおこなわれるのだが、スペースが余ってしまう。正確に数えていないが、たとえば昨年11月に行った時には、開催された週末の二日間で、合計50人も来なかったんじゃないだろうか。小学校の防災訓練の方がよっぽどにぎやかだ。
一応、主催者シンさんの教え子である小学生や、関係者の方が顔を出しには来る。でも開催中ずっと体育館にいるのは、10人強の青年ジャグラーたちだけだ。進行も行き当たりばったりで、11時に開会の予定だったのに、「いやぁ、人が集まらないから、13時からにしましょう」と言って、予定がいきなり延びるのは普通だし、外ではつららが下がっているような寒さなのに、体育館には暖房が入らないというので、コートを着たままボールを投げなければいけなかったり、参加者の連れてきた雑種犬が、奥の方で毛布にくるまって練習を見ていたり(不用意に近づくと吠えてくる)、競技会に出る予定だった人が遅れて来たので出場しなかったりする。
奔放なイベントです。
事務局長シンさんは、このところいつ会っても、「あぶないですよ!」と流暢な日本語で言う。何があぶないんですか、と聞くと、「韓国のジャグラーは全然増えませんね」と答える。
たしかに、もう何回もKJFに来ているけれども参加者に代わり映えはない。むしろ「去年いたあの人はどこへ行ったのだろう」と思うことのほうが多い。
僕は少なくとも、KJFにこれからも参加するつもりだ。
近いからお金も時間もそれほどかからないし、(なにもマダガスカルやアイスランドに毎年行くわけではない)何より、韓国を訪ねるほどに、どんどん、かの国が好きになっていくからだ。
今回の旅は時間に余裕があったので、ホステルで知り合ったドイツ人とフライドチキンを食べに行ったり、宮殿を見たり、美術館に行ったりもした。(ソウル・キョムボックンの近くにある現代美術館は、とても広くて感じのいい美術館です)あるいは、ひとりで本屋に行ったり部屋で本を読んだり、暮らすように過ごした。冬はちらほら雪も降ったり、とんでもなく寒いけれども、ぶるぶる、とふるえながら店に飛びこんで食べるチゲ鍋はとてもおいしいし、宿に帰って、落ち着いてお酒を飲みながら談笑するのもとてもよい時間で、温かみを感じるものだった。
僕としては、韓国でほそぼそとでもジャグリングのコミュニティが存在し続けて、しかもフェスティバルが毎年きちんと開催されてくれることは、ちょっとした旅行のきっかけになって、とてもありがたいことなのである。
シンさん、そして韓国のジャグリング界の皆さんには、「あぶない」のかも知れないが、頑張ってほしい。
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