2018年3月18日日曜日

第17回 ベルギー・フレッシュサーカスの旅 6日目 おわかれのあと

 ホテルを離れて、インターネット環境が不安定だったので、二日分まとめて公開しようと思ったのですが、今ブリュッセルの空港で、もうボーディングが始まってしまったので、とりあえず、昨日の分。「今日(2018/03/17)」の出来事は、また経由地のドバイで公開できたらと思います。
 
 朝、ホテルをチェックアウト。INCAMの残ったメンバーで朝ごはんを食べながら会議をします。みんな疲れた顔をしてますが、(まぁそれでも、この後に会議はないのでわりにリラックスした表情だった)アドルフォさんは最後まで元気。ビセンテさんが発言するたびに「ビセ〜ンテ」と言っておちょくっていました。あとはみんな、バイキングなので、ナッツやジュースを取ってきて袋に詰めていた。「次はINCAMが出禁になっちゃうね」と笑いながら話す。アドルフォは誰にも増してどんどんいろんなものを袋に入れて、呆れられていた。「次はバンに乗ってここにきて、部屋を持って帰ろう」とか言っていた。
別れ際にジャグリングを見せてくれたビセンテさん

 「サーカスのネットワーク」について話していてわかったことがあります。
 それは、僕は「サーカスのネットワーク」の中では例外的な立場だということです。そもそも日本から来ていることもあるかもしれないけれど。サーカス、というより僕の興味の中心は「ジャグリング」です。そして、「ジャグリング」というのは、サーカスの中ではそれほど中心的な概念ではなくて、(当たり前ですが)「サーカス」と言われて名指されているのは、どちらかというと、アクロバットとか、そういうものの方が中心的な気がしました。「身体性」に重点がある。ものを操るとか、そういうことは中心ではない。 
 考えてみれば、ジャグリングがサーカスの中心ではないのは当たり前です。ですが、僕は今まで9割ぐらい、日本でも西欧でもアジアでも、ジャグリングの作品ばかりを見てきました。それゆえに持っていた僕自身の中の「サーカス」に対する偏った見方みたいなものも、あったみたいです。反省。
 それと単純に、僕以外のみんなはもっとプロフェッショナルなレベルでやっていて、オーディエンスのことを考えている感じがしました。
 僕は割と好きにやっている感じです。しかしそういう立場の僕がへろっとした発言をすることで場が和む、みたいな場合も時々あったけれども。「日本からきてくれたのはよかった。立場の違う人も巻き込んでいきたい」とも言ってもらえたので、よかったかな、とは思っています。
 結果的に自分の立場についても、「個人的なことは、あくまで個人的にやっていこう」みたいに思えたので、よかった。
 西欧の「サーカス」は、はっきりと、「サーカス」という立場があるのでした。
 「ダンス」みたいな感じで。

 さて、ホテルを出て、足早に本屋へと向かいました。外国にいくと、時間があれば本屋に寄るようにしています。別に何を買うでもないんですが、本を見るのが好きです。(とはいえだいたい何か買ってしまいます)世界で一番美しいと(誰が言っているのか知らないが)言われているらしい、トロピズムという本屋にも行く。
 
その本屋があるアーケード

 そして、以前も来たことのあるマグリット美術館に行く。
 もっと他にも見るところはあったんですが、やはりマグリット美術館に行くことにしました。どうしてもまた生で見たかった『光の帝国』という作品と、彼の落書きを見てほんの30分ぐらいで出てきましたが、幸せな時間でした。もうこれでブリュッセルに名残はないな、と思った。
 
 そして、再びショーをみる。 『Strach』と『Titre Définitif』。
 『Strach』はアクロバットを使った劇。「恐怖」という意味のようで、文字通り、狼の格好をしてワウワウ吠えたり、アーティストが倒れそうになるのを観客が助けたり、観客が肩の上に乗せられたり、スリル満点でした。『Titre Définitif』は、事前に観客が書いた歌のタイトルを当てる、というマインドリーディングショウ。マジックも織り交ぜつつ、合間にギターやドラムを演奏して、ジョークで楽しませながら進めるものでした。惜しむらくはフランス語がほぼわからないので、何が起こっているのか全然わからなかったということです。スタンディングオベーションが起きていたので、きっとすごく面白かったんだと思う。

 終わると、友人のブラムがほいほいと迎えにきてくれました。
 ホテルをチェックアウトするのがこの日だということをすっかり忘れていたので、ロンデルゼールという町にある彼の家に急遽泊まらせてもらった。
 ベッドタウンの、静かな町で、家もとても綺麗でした。
 ブラムはタトゥーアーティストで、アジアに関心を持っているので、部屋にはエキゾチックな装飾や、日本の漫画(手塚治虫の『ブッダ』もある)がたくさんありました。
 いつも行き当たりばったりに旅をしていて感じるんですが、こうやって助けてくれる友達がいるというのは、実に、幸せなことだと思う。外国にいる友達と話しながら食べるご飯というのは、てとても美味しいものです。この夜は、ケバブを食べました。美味しかったのは、肉とポテトがいっぱい入っていたからだけじゃないと思う。



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