2018年3月13日火曜日

第13回 ベルギー・フレッシュサーカスの旅 2日目 2/2 INCAMミーティング、UP!フェスティバルオープニング

 BOZAR(ボザール)という美術館に行き、オープニングのプレスカンファレンスに出席。なんだか重要そうな人たちがたくさん。ブリュッセル市は、focusCIRCUSと銘打って、ヨーロッパにおけるコンテンポラリーパフォーミングアーツの中心として市を推していくのが今年の方針らしい。それが、これから2019年の3月まで続く。
 主導はワロン=ブリュッセル共同体(フランス語圏の共同体)。ベルギーが国として、というのとは少し違うところに、国家の言語的分裂事情が垣間見える。
 事前にメールで話していたカトリン・マジスさんとここで会う。彼女は、サーカスパフォーマーのための施設「エスパス・カタストロフ」の人。すごく活発、ひょうきんだ。とても面白い。「フランス語で話すけど、あなた、フランス語わかる?」と言って、手をひらひらさせる。だが実際ほとんどの登壇者、フランス語で喋る。大筋はわかるんだけど、こんなにもフランス語がきちんとわかったら実際、便利だろうな、と思ったことはなかった。少なくとも「サーカス」の文化圏では力を握る言語だ。
 
この計画で鍵を握る人たち

カトリンさん

色々もらう。ブリュッセルを紹介する分厚い本も入っていた。
ブリュッセルの観光局もスポンサーで、宣伝に余念がない。面白い。

BOZAR 外観

会場は、BOZAR外の「半分テント」。何人かは「全然プラクティカルじゃない」など厳しい意見(笑)
僕は結構良いな、とか思ったんですが。
 
 そのあと豪華な昼食をヨーロッパ流にゆっくりと食べ、(肉がとんでもなくでかかった)次の目的地へ向かい、サーカスを扱うメディアを集めた、INCAMのメンバーで話し合い。




例の、キム・キャンベルさん


 小ぎれいなオフィスで、肩の力を抜いてみんなで、雑誌を続ける上での困難や、各々の仕事の紹介、今後どのように連携していくか、などを話す。それぞれが少しずつ違った理由で、違った背景を持って、雑誌やウェブメディアに関わっていた。
 僕のようにごく個人的なモチベーションでやっているのは、他にメキシコのドクシルコを立ち上げたロドリゴさんがいて、(もちろん細かく見ればみんな個人的な理由で始めてるんだけど)年代も近く、彼もまたパフォーマーなので親近感が湧いた。
長い棒でバランスをとり、その上を人が登る「パーチバランス」のパフォーマー・ロドリゴさん

 その後まだBOZARに戻り、今度はUP! フェスティバルのオープニングショー。
短いものをさらっとやって終わるのかと思いきや、しっかりとしたホールで、燕尾服をきたクラウン的なMCまでついた本格的なショーケースだった。演技も4、5個見た。参加者も非常に多い。










 お酒もご飯もバンバン振舞われる。INCAMの人と話したり、他に知っている人はいるかどうか、スパークリングワイン片手に会場内を歩き回っていたら、案の定、デフラクトのギヨームや、エリック、ショーン(ガンディーニ)、リドのミゲルなど、知り合いにたくさん会う。ギヨーム、相変わらず熱心に日本語を勉強していて、「お元気ですか?また、会えて、嬉しいです!」とニコニコ言ってくれる。

 今日1日で色々と起こった。もう今は夜の12時40分。少し頭が混乱している。中身の詰まった日だった。
 ちょっと立ち止まって考えたいこともいくつかあった。
 とくに感じたのは、「ヨーロッパと日本ではサーカスを取り巻く状況は根本から違う。その全体像は、出来上がる作品だけ観ていてもどうも理解ができなくて、こういう風に、『サーカス』という言葉で支えられた共同体や、経済的基盤など、そして観衆の方の受け入れ方、態度など、全てがあって、『サーカス・インダストリー』を形作っているのだな」という呆れに近い驚嘆だった。

 今まで僕自身、EJCと友達のジャグラーを主に「ヨーロッパのジャグリング」を知る手がかりとして用いて、考え、人に伝えていましたが、「ヨーロッパのジャグリング/サーカス」という像を語るには、もっと色々と手を伸ばして、むしろ「EJCはヨーロッパにおいても特殊なのだ」というところを、しっかり噛み砕かないといけないな、という感じがしました。
 ともあれ、INCAMのメンバーと仲良くなれたのは大きな前進だと思うし、今までとは少し違う方向に人の繋がりができたような気がするし、朝食に出たチーズは笑っちゃうぐらい美味しかったし、今のところ、いい感じです。

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