会場に行って、ふたたび、「サーカス」という言葉についてのセッション。
サーカスをショーとして売っていくにあたって、「サーカス」という言葉が持っている既成のイメージが邪魔をしている、ということがある、という話。
ショーごとのそれぞれの違いを端的に説明するのにはどうしたらいいのか、という話も。ビデオの方が、写真や言葉だと伝わらないことがたくさん伝わり、全体像が見えるからいい。でも同時に、イメージは一つではない、その多様性がサーカスでもあるので、難しい。
実際にいいショーをたくさん見てもらおうのが一番いいのではないか、と。
僕自身は、あんまり「サーカスを広めよう」みたいに考えたことがなかったので、いまいちこれに関しては意見を持てませんでした。しかし、色々とショーを見ていく中で、そうか、これが西欧での「サーカス」なんだな、という総体みたいなものも少し見えてきて、問題がどこにあるのかはなんとなくわかった気がしました。
終わると、クロージングの会をやって、フェアウェル・ドリンク。帰ってしまう人もいるので、熱いハグを交わしたりします。ビズ(ほっぺたにキス)もします。
急なインタビューに応じてくれたエリック・ロンジュケルさん
ビズって、思うんですが、本当に、毎回タイミングと具体的なやり方に困ってしまいます。
いきなり初対面の女性に、両方のほっぺにキスをされたりするので、受け取るこっちはパッと反応できなかったりします。あと、普通に握手をするときも、握手なのか、ギャングスター的な軽い挨拶をするのか、いまいちわからないときもある。
それはさておき。
バスに乗って、エスパス・カタストロフと、ESAC見学。
エスパス・カタストロフは、サーカスアーティストが必要なときに、簡単な手続きでスペースを借りられるところ。エリックも「ここは最高だ」と言っていて、正式な学校ではないですが、練習やリハーサルも十分にでき、ワークショップがあったりもするみたいです。これから2カ年計画で、建物をまるきり新しくする計画で、今回は、それが具体的にどんな風になるのか、ということを聞きました。
この廃墟も潰す、というのだが、これはこれで味があるような。
中までは、見られなかった。ちらっと見えた部分は、地区センターのダンスルームのような感じのスペースでした。
ESACは、ベルギーでも有数のサーカス学校で、つい5ヶ月前に建物が新しくなったばかり。元々は、周辺の建物を温める空気を、炭を燃やして生産するところ(というのが、いまいち現代の僕たちには想像がつかないのですが)だそう。要するに、空調システムの一部ですね。
玄関を入ってすぐ、天井の高い部屋に、トラピーズやマットなどがおいてあり、その隣の部屋はさらに高さがあって、(40mくらいある)そこにはより本格的に、上から道具が吊るせる施設がありました。その後探検は続き、やや小さい、鏡張りのダンススタジオや、音楽が演奏できる部屋、リラックスする部屋、シャワーなど、くまなく見ました。こういうところで生まれるサーカスアーツは、日本のそれとはまったく違うものになるだろうなぁ、という気がしました。でもだからこそ、日本で、もっと地味な生活感に基づいたインスピレーションとか、場所がなくてもできることとか、仲間がいないからこそ発展することとか、そういうものを見つけるのがいいのかもしれないな、とも思いました。体なんか鍛えなくていいし、空も飛ばなくていいような「サーカス」を探してもいいかもしれない。
それはもはやサーカスとは呼ばれないのかもしれないけれど。
その後、
『Burning』『Spiegel im Spiegel』を見て、劇場に戻って一杯だけ(コーラを)飲んで、帰宅。
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