2018年8月2日木曜日

第155回 【オープンステージに出るということについて】22/45日目 ヨーロッパ・ジャグリングの旅 2018

オープンステージ、というのがEJCにはある。
立候補すれば誰でも演技をすることのできるショーである。
例年のフェスティバルでは、開催期間中、5〜6日間オープンステージがあるのだけど、今年は規模が比較的小さいこともあってか、3日間しか開催されない。

3日目の朝、出場希望者全体のミーティングがあった。
朝11時。
11時5分前くらいまで、ステージの前にいたのだが、裏側に回ってみるとだいぶ人が集まっていた。
今年はショーを行うスペースがメインのジムの中にある。
これは2015年のイタリア開催の時もそうであった。

集まった人たちの輪の中に加わると、いつもオープンステージを仕切っているポーラとコンチャがいた。
特にポーラとは、もう2012年からずっとオープンステージに出る度に会っている。
ポーラってなんか誰かに似てるんだよなー、と思うんだけど、いつもそれが思い出せない。
だがとりあえず、ピクサー映画『インサイド・アウト』のヨロコビに似ている。
ビールの蓋をあけるのがうまい。
コンチャもポーラもドイツ人。

待っているうちに続々と人が集まってくる。
各々の道具などを聞きながら、いつ出たいか、の希望も聞いて行く。

ここで、初日に出る人がなかなか決まらなかった。

本当は二日目に出たかったのだけど、仕方ないな、と思い、バリエーションとしてもちょうどよかったので、コンタクトジャグラーのたろりんと一緒に、「じゃあ、出ます」と言って出ることにした。

ミーティングの後は2時くらいまで、照明のチェックをしたり、音楽のチェックをしたり、司会の人に何を言って欲しいかを伝えたりする。

※ ※ ※

さて、今年は、去年に引き続いて、お店を出すことにしていた。
といっても気楽なもので、机を出して、その上に商品を並べるだけである。
別にずっと張り付いている必要もない。

なんだけど、机がなかった。

いやあ、昨日、「机用意しとくよ!」と言われたはずなんだけどな、と思うが、コンベンションの大きさを鑑みれば、これくらい、忘れられていてもなんてことはない。
ひとまず、どうしようかなぁ、と思っていたが、展示用においてあった木棚を横に寝かせて机がわりにすることにした。木目がいい感じ。


今回のEJCは、あまりイベントがキツキツに入っていないので、会場内にあるミニマーケットに行ったり、お店の様子を見に帰ったり、テントに帰ってみたり、ジムに行ってオープンステージの演技を練習したりを繰り返しながら過ごした。


夜8時半。
オープンステージに備えるため、舞台裏に入る。
スペイン、イスラエル、ドイツ、そして日本など、各国から来たジャグラーたちがいる。
各々嬉しそうに通し練習をしたり、不安そうに準備運動をしていたり、メイクをしたりしている。
トリを飾るフィンランド人のラウリは、ポーラとコンチャに気軽に話しかけたりしている。

今まで5回のEJCにきて、その全てで演技をしてきた。
今回で、6回目。

自分は、どう感じているか?
これだけ何回も出ているのだから、何か進歩があってもいいよなぁ、と思うのだけど、自分が進歩したことって、果たしてなんだろう、と考える。
何が起こるか大体把握している、という意味では、大いに進歩している。
もう、ジャグラー7、800人の前で演技をすることには、慣れたような気がする。

ポーラもコンチャも、いつでも陽気に演技をする人たちを盛り上げてくれて、不安そうな時には、肩を抱いてくれる。
ミーティングの一番初めに言った一言。

「オープンステージは、みんなが楽しむためにあるからね」

そうそう、これがEJCだよな。

※ ※ ※

EJCに来て、オープンステージに出る醍醐味はいくつかある。
多くの観客の前でステージに立つことができる、というのはその最たるものであるし、その観客も、ジャグリングが難しいことを知っているから、挑戦する人には優しい。

個人的に、僕がいつも楽しみにしているのは、演技が始まる前に、円陣を組んでわあーっと観客席に聞こえるくらいの声を出すときと、全てが終わって、みんなで手を繋いで礼をした後、舞台裏に戻ってビールで乾杯をするときである。
その場限りなんだけど、そこには固有の、一体感がある。

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