2018年12月23日日曜日

ジャグリングの郵便箱 第273回 いいも悪いも、とにかくタネを育てよ

「あまりにも考え過ぎてしまうと、逆に何も出てこなくなる」ということが多いです。
文章がその最たるものです。
キーボードを前にして一時間、何も出てこない。そういう時は、「価値判断をしすぎているとき」のような気がします。
「これは面白くないだろうな」とか、「これは書き始めてしまうと長くなりそうだな」とか。その一歩を躊躇している。

でも、だいたいにおいて予想はほぼ当たりません。書いてみたら思っていたよりは面白い展開をできたり、すらすらと書けてしまったりする。(そういう時は、自分でもびっくりする)逆に、簡単に書けると思っていたことが、存外手間のかかるものだったりする。

その差は、「夢」と「現実」くらい違う。まぁ、想像と夢って似たようなものですよね。どちらも、頭の中で作り出している、ほんわか、ぼんやり、ふんわりした像です。感触としては現実にかなり近いんだけど、それをアウトプットしてもう一回鑑賞した時、どうしても、「なんかちげえな」感が拭えないのが常です。

そういう時は、とにかく黙って書き始めてしまうしかないんだろうと思う。
文章を書き始めて、ある程度のかさができてから、初めて「ああ、この部分はいいけど、この部分はよくないかな」と、具体的に触れるものとして手を入れることができます。

もちろん、その具体的な試行錯誤に時間がかかるわけです。
そのことを僕はいつも忘れる。
「素晴らしいことを思いつく」のが難しい、時間のかかることなんだ、と間違った思いを抱いてしまう。
そうじゃないんだ。
何もないところに、勇気を出して、いいタネか悪いタネか見た目じゃわからないが、ひとまずひとつのタネを撒いて、それをある程度育ててから、もしダメならまた別のタネを試す、そのダメだった時の「時間の無駄」を考慮した時間をたっぷりかける、ということこそが大事なんだ。

そしていざタネを育てはじめると、たとえ出来上がりが悪くても、少なくとも何かを期待しながら水をやり、育てている最中というのは、それ自体が、かなり充実した、いい時間だよな、と感じる。

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