2019年5月6日月曜日

第379回 2019年5月6日、ストレンジシード静岡最終日の感想。

小田原で仕事があった次の日、一日休みがあったので、静岡で行われているイベントを見にいくことにした。ストレンジシード静岡、という名前である。


駿府城を中心として、徒歩15分圏内のあたりのあらゆるところで、無料で作品が見られる。ストレンジではあるものの、質はとても高い。僕が見た6作品は、全て一定以上のレベルだった。


まずは「ロロ」という劇団の、二人の女性が演じる作品を後半から見た。(朝起きるのが遅く、後半しか見られなかった)
駐輪場で、高校生二人が会話をしている様子を、実際に駐輪場で行う。
全て見ていないので僕自身の詳しい感想は遠慮しておくが、とても評判が良かった。途中から見ても、二人とも魅力的な俳優だな、と思った。状況設定がニクいですね。

続いて「いいむろなおきと静岡ストレンジシーズ」。マイムのいいむろなおきさんが一般公募で集めたメンバーの振り付けをした作品。
前半、駿府城の東御門から、中にある芝生のエリアまで、ダンボールでできたロボットをふにゃーん、ふにゃーんと動かしながら歩いてゆく。芝生では、群舞を披露。
稽古には一週間しかなかったそうで、その中であのクオリティのものを仕上げてきたのは素晴らしいと思いました。いいむろさんが「駿府城の敷地の中をロボットがふわふわ飛んでいたり、たくさんの『一般の人』が、みんなでマイムをやったらきっと面白いに違いない」という想像力、のことを僕自身が想像しながら観ると、なんだか、いいむろさん、すごくいい人なんだろうな、と人柄を見た気がしました。



続いて「川村美紀子&米澤一平」の演目を見る。米澤さんは、先日タップダンスのイベントに出演した時に別演目で、一緒の舞台に立っていた。その時の縁もあって、気になったので見に行ってみた。結果、米澤さんはくまの着ぐるみを着て踊っていました。川村さんは、トラ柄の薄い衣装に身を包み、平成に流行った歌のリミックスに合わせて大胆に踊っていました。いや、とにかく勢いがすごくて、「今日できることを限りなく出す!」という意気が見えて、オモロかったです。笑いました。


そのあとは、手短に食事をとって、役所の中でやっていた「Magik Fabrik」というフランスのカンパニーの、「Incognito(アンコニト)」という作品を見る。これが、非常に面白かった。


はじめ舞台上にはアンティーク調の木箱があって、突如その中から音がし、クラウン二人が出てくる。クラウンメイクも、かなりクラシックで(さすがに赤鼻まではつけていないのだが、モダンなクラウンの中ではクラシックな感じ)サスペンダーをつけて、壊れた靴を履いている。その男女二人のクラウンが、箱の中に出たり入ったりを繰り返しながら、空き缶、木の板、風船、ロープなど、ありふれたオブジェクトを使いつつ、観客を見事に引き込んで、シーンを作っていく。
あのですね、一番感動したのが、クラウン二人は、表情、いや、もはや目線だけで、観客をうまいこと、自分たちがきて欲しいところに来させ、やって欲しいことをやらせてしまうのです。
もちろんそれは、大げさにやれば、誰にでもできることですが、この二人に関してはおよそ、少し遠くから見ているともはや何もしているように見えないのに、勝手に観客が前に出てきてしまい、まるで魔法のようでした。

空き缶パート、ロープパート、歌パート、など様々な種類の演目を用意しているのだけど、全てのつなぎ方も、あれは、相当に熟練していないとできない業でしたね。職人が、次にやるべき工程を全て分かっているように、また、何か不測の事態が起きても、それを「うまく収める範囲」を熟知しているように、あれだけシンプルにそぎ落とされた中身だからこそ、一つ一つが全部正確で、練られていて、まさに名人芸でした。
僕が知る中では、間違いなくベストのクラウンでした。


さて、これを見終わり、また駿府城の芝生のエリアに戻って、今度は渡邉尚さん。
ジャグラーです。ですが、一般的に想像されるようなジャグリングとは全く異なるジャグリングをします。


這いながら、飛びながら、逆立ちをしながら、自由自在に体を操り、そのプロセスとジャグリングが一体になっています。
野外の、それも芝生の中でそれをやると、なんだか戯れる動物のようで、いつもと違う感じがしました。
人工物があまりない空間で見ると、余計に、引き立つ部分がありますね。
ううむ。よかった。
フランスのジャグラー、ギヨーム・マルティネと(彼も一流のとてもよいジャグラーですよ)コラボレーションする新作が、2019年10月5、6日に横浜で見られるようです。
そちらも非常に楽しみです。今回ストレンジシードを見逃した方は、これを狙うのがいいかも。なんせ、ひさしさん、なかなか日本にいないので(笑)
いやあ、なんだか、すごい境地に行っちゃってます。



さてそれが終わると、一旦カフェに行きました。
ヒトヤ堂、という、純喫茶です。運営しているのは、僕と同年代の女性3人。
実を言うとここは2階が宿にもなっており、前日、ここに泊まっていたのですが、あまりに居心地がいいので、また帰ってきてしまいました。
サイフォンで淹れたコーヒーを飲む。
至福でした。


さて、一息入れたら、最後に「HURyCAN(ウリカン)」という、スペインからきた(片方はフランス人だけど)ダンサー二人組の演技を観る。
はじめ、男一人が、女性に無理やりキスをしようとするところから、二人の関係を見せつつ、アクトをしているようで、踊っている、という展開。
途中、アクロバット的な要素もあり、サーカスの作品を見慣れている僕にとって、なんだか馴染みのある構成でした。よっぽど、サーカス学校か何かで学んだ人なのかな、と思ったのですが、そういうわけでもないみたいです。(終演後に直接聞いた)二人ともかわいらしく、愉快だった。
二人は、アルトゥールと、カンデラリアという名前です。まぁ、おそらく、ArtHUR y CANdelariaで、ウリカンなんだろうな。(yはスペイン語でand)







さて、こんなところで、残りは、ひさしさんと中華屋でご飯を食べ、しりあがり寿さんのイベントでお酒を少しだけのみ、鈍行の終電で帰りました。


また来年も行きたいぜよ。

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