2019年4月10日水曜日

第369回 周りにできる人がいると

2000年に発行された『ボールジャグリング入門』では、「5ボールはジャグラーの試金石」と書かれています。実際、90年代あたりは、(僕はジャグリングをやっていなかったので知らないのだが)きっと5ボールカスケードができるジャグラーなんてそれほど見かけることもなかっただろう、と思う。

もちろん「できる人」はたくさんいただろうし、7ボール、9ボールだって、ある程度の人がやっていたのだろう、とは想像できる。それにしても、今のジャグリングの世界のように、5ボールができてもジャグラーからは驚かれない、というふうではなかっただろう。

僕には、これが「不思議」である。人間の身体的な能力で言ったら、生物としては全然変わっていないはずなのに、ジャグリングのシーンを全体で見たとき、明らかにレベルが上がっている。この要因はどこにあるのか。

やはりこれは、「周りにいい見本が山ほどある」ということが関係しているに違いない。インターネットはもちろんその最たるもので、あとはサークルや練習会で実際に人がやっているのを目にする、ということもある。

そこで思うのは、人間は、精神的に「できる」と思えると、実際にできちゃうんだよな、ということである。もし周りに5ボールなんかやっている人がいなくて、イチから自分でやらねばならないとしたら、(実際30年以上前なんかは、そういう状況の方が普通だったろう)諦めずに練習を続けるのは難しい。

それが、周りの人がやすやすとやっているのを見るだけで、「そうか、これは、練習さえすれば誰でもできるし、そんなに難しいことでもないのかもしれない」と思って、くじけそうになった時も、なんだかんだでモチベーションを保つことができる。

つまり何が言いたいのかというと、今自分が何かに取り組んでいて、「これは難しいし、全然できないかもしれない」と思うようなことも、実は、周りにそれをやすやすと実現している人たちがいたら、それだけで、簡単なものに見えてしまう、ということなのである。きっと、どんなことも。

だから先例がないようなことも、「もしこれを、周りの人10人がやすやすとやっているようなことだったら」と想像すると、気持ちのハードルが下がって、挑戦し、失敗し、また諦めずに続ける、ということが少し楽になるような気がする。

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